転借地権とは?
転貸借とは、人から借りたものを第三者に使用収益(貸す)ことで、一般的に「又貸し」と言われたりします。転貸借地とは建物を建てることを目的に転貸借されている土地の事をいいます。
通常の借地権の場合は地主が借地権設定者となりますが、転貸借地の場合は借地人が賃借権設定者となります。
ここでは一例を挙げてご説明します。
神奈川県湘北町にある300㎡の土地を、地主の赤木さんから桜木さんが借りたのですが、その土地を友人の流川さんが借りたいと言ってきたので、桜木さんは赤木さんから許可をもらい、家を建てずにそのまま流川さんに又貸しをしました。
この場合、桜木さんに発生する権利を「転貸借地権」といいます。
流川さんに発生する権利を「転借権」といい、借地権上に更に借地権がある状態となり、土地を所有する赤木さんと借りている桜木さん、桜木さんから又貸しされた流川さんの3名それぞれが、土地に関する権利を持っていることになります。
この場合の注意点として、桜木さんは土地を流川さんに貸す場合には赤木さんの承諾が必要という事です。
もし桜木さんが無断で許可なく貸したりした場合、赤木さんは流川さんに明け渡しを求めることができ、桜木さんとの契約解除を求めることも可能ですので、トラブルにならないように注意が必要です。
転貸借地権と転借権の評価方法
それでは桜木さんの有する転貸借地権と、流川さんが有する転借権の評価方法をご紹介します。
路線価に対して、対象の土地形状や状況を加味した自用地評価額を計算します。自用地価格に国税庁の路線価図にある借地権割合を乗じた価格が借地権価格となります。この借地権価格=転貸借地価格+転借権価格となり、それぞれ借地権割合に基づき算出します。
この場合、転借権価格=借地権割合となり、それ以外が転貸借地権価格となります。
国税庁は転貸借地権の評価に関して、財産評価基本通達29(転貸借地権の評価)にて、次のように通達しています。
転貸されている借地権の価額は、27≪借地権の評価≫又は27-6≪土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価≫の定めにより評価したその借地権の価額から次項の定めにより評価したその借地権に係る転借権の価額を控除した価額によって評価する。(平3課評2-4外・平6課評2-2外改正)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/06.htm
評価の計算式
ここでは簡単な計算方法を、前述の借地権割合に基づいて具体的にご紹介していきます。
転貸借地権価格(桜木さん) | 自用地評価額×借地権割合-転借権価格 |
転借権価格(流川さん) | 自用地評価額×借地権割合×借地権割合 |
評価額:108万円/㎡、借地権割合:70%、土地:300㎡
☆赤木さん(底地権者):3億2,400万円(108万円×300㎡)×(1×借地権割合70%)=9,720万円※底地権価格
☆流川さん(転借権者):3億2,400万円×70%(借地権割合)×70%(借地権割合)=15,876万円※転借権価格
☆桜木さん(転貸借地権者):3億2,400万円×70%(借地権割合)-15,876万円(転借権価格)=6,804万円※転貸借地権価格